Mineri matsuura Metamorphosis

【開催レポート】2「アプライドアートの 波がきているらしい 日本にいながら海外で活躍するコンテンポラリージュエリー・アーティスト達のトークセッション」

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「アプライドアートの 波がきているらしい 日本にいながら海外で活躍するコンテンポラリージュエリー・アーティスト達のトークセッション」その2

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2019年10月9日渋谷区文化センター大和田で、開催されたジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)主催「アプライドアートの 波がきているらしい  日本にいながら海外で活躍するコンテンポラリージュエリー・アーティスト達のトークセッション」の様子をまとめました。
第2回は、コンテンポラリージュエリー・アーティスト松浦峰里さんのお話第2回、海外のコンペティションの様子や自分の作品の軌跡についてお話してくれています。前回をお読みになりたい方はこちらをクリック→ 1
コンテンポラリージュエリー・アーティスト松浦峰里さんのプロフィールはページ下をご覧ください

Gioielli in Fermento (ジオイエッリ イン フェルメントGIF)について

松浦:

「Fermentationフェルメンテーション」で発酵という意味。

Gioielli in Fermentoは「発酵におけるジュエリー」という意味です。

イタリアのTorre Fornello(トーレ フォルネッロ)という歴史のあるワイナリー がスポンサーなっています。

GIFの入選作品は、このワイナリーで展示会が開催され、ワインとジュエリーを一緒に樽の上にディスプレイしたり、とてもセンスがいいですね。

建物は17世紀に建設されたものでヴァチカンが所有する教会を兼ね、その地下でワインを熟成させています。
こちらのフェイスブックリンクに行くとのGIF2016の会場の様子の画像をたくさん見ることができます↓

https://www.facebook.com/Gioielli.in.Fermento/photos/a.1089314417792293/1090293941027674/?type=3


GIFで受賞した作品は、シカゴのSOFA、NY-RR ギャラリー、Putti in Riga(バルト三国の一つのギャラリー)など世界中を巡回します。

自分の作品の軌跡について

松浦:

こちらの作品は2005年の作品です。

糸鋸で切ったり、溶着によって合金にしたりしてます。

2005. Neck jewellery / silver, 24k, 18k title: repetition Mineri Matsuura

2016年  新しいコンセプトの最初の作品 no title   Mineri Matsuura

 

2016年にGIFで入選した木釘の作品(開催レポート1)は、自分自身ではちょっとしっくりこない、というのがありました。

実は、木釘の作品とは別に、金属を使う作品も制作していました。

そうした中で出来上がってきたのがこの作品です。

これなぜか Pinterest で「茶道具」っていうカテゴリーに入れられてたんですけど(笑)

この流れが、次の写真、2019年の今年の AGC(イタリアのアートジュエリー団体) スペシャルメンションとKlimt02(クリムトゼロツー)スペシャルメンションを受賞させて頂いた作品につながっていきました。*Klimt02: コンテンポラリージュエリーの世界最大のプラットフォーム

約10年かかって、今の自分の作品になっていったんです。

Gioielli in Fermento 2018 – Metamorphosis AGC special mention, Klimt02 specialmention 受賞 Mineri Matsuura

本当にただの薄いシルバーの板なんですが、そこに鋸の刃をさらに細くして、一本一本線を切り抜いています。

 そうすと、ただの平面が曲げるとすごい形に変化するっていう事を発見したというか…

「繋がってるところは変わらないんだな」とか

「あまり動かないとわかっていても、もうちょっとそれを自由に動かしてみたらどうなんだろう」というような、様々な実験をしました。

実験している段階で出てきたのか

立体になった時の形の綺麗さ。

この作品「 metamorphosis -メタモルフォシス」っていう題名なんですけど、

変身とか変態という意味ですね。

糸鋸(いとのこ)で平面の金属板を切っていくという、ひどく単純な作業を繰り返すことで、形が立体的に変わるという、そのこと自体にすごく驚きがあったんです。

これは裏ですね。最近は 審査で裏の写真が必要と言われます。

近年、コンテンポラリージュエリーのアーティストは樹脂など多種多様な素材を使うために、基本のジュエリーテクニックがダウンしてきたというのが審査する側の意識にあります。

技術面もちゃんとできているか、ファンクション(機能)がしっかりしているかを見るために、裏面の写真も提出させている流れがあるのではないかと思います。

→次に続く


「アプライドアートの 波がきているらしい
日本にいながら海外で活躍するコンテンポラリージュエリー・アーティスト達のトークセッション」


松浦 峰里(Mineri Matsuura)

【松浦峰里プロフィール】 コンテンポラリージュエリー・アーティスト 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。

<海外受賞、選出> 2019年 ALLIAGES Legacy テクニーク賞 (フランス) 2019年 Gioielli in Fermento 2019 Klimt02特別賞/AGC 特別賞(イタリア) 2018年 Comineli Foundation Aword, Seconda menzione (イタリア) Gioielli in ferment(イタリア・2017)/ 2016(Italy, Spain, NY, SOFA Chicago)

<作品収蔵> Espace Solidor 美術館、カンヌ、フランス

<海外エキジビション等> 2019年 Gioielli in Fermento イタリア、リボルノ   Espace Solidor美術館Legacy Award 展覧会 フランス、カンヌ   lla ricerca della qualità  イタリア、ピアチェンツァ

ウェブサイト http://mineri-matsuura.com/