
【開催レポート】3「アプライドアートの 波がきているらしい 日本にいながら海外で活躍するコンテンポラリージュエリー・アーティスト達のトークセッション」
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2019年10月9日渋谷区文化センター大和田で、開催されたジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)主催「アプライドアートの 波がきているらしい 日本にいながら海外で活躍するコンテンポラリージュエリー・アーティスト達のトークセッション」の様子をまとめました。
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コンテンポラリージュエリー・アーティスト松浦峰里さんのプロフィールはページ下をご覧ください
- 松浦 峰里(Mineri Matsuura)
- 前田 朝黄(Asagi Maeda)
- 青木 愛実(Manami Aoki)
コミネリ ファンデーション アワードについて
COMINELLI FOUNDATION AWARD (コミネリ ファンデーション アワード イタリア)
松浦:
2018年にコミネリ ファンデーション アワード スペシャルエディション2018(COMINELLI FOUNDATION AWARD FOR INTERNATIONAL JEWELLERY SPECIAL EDITION 2018)でspecial mentionを受賞しました。
これはラファエレ・コミネリ財団とAGC(イタリアのコンテンポラリージュエリーの協会)が組織している、2010年に始まった比較的新しいコンペです。 http://www.agc-premiocominelli.org/
作品のテーマは 「A Jewel of a lake」
コミネリファンデーションは、イタリアのガルダ湖という、歴史ある保養地にあります。
このコミネリ財団の設立目的は
「コンテンポラリー アート ジュエリーの認識と理解を深めるために強力な役割を果たす事。
”アプライドアート” や”アートジュエリーをもっと多くの人に知ってもらい、広げるため。」
*AGCの目標は「アートジュエリー」についてもっと多くの人に知ってもい広げることです。
ファンデーションの理念がしっかりしていますね。
今回の招待審査員はアメリカのコンテンポラリークラフト界の大御所であるヘレン・ダット(Helen W. Drutt)さんです。
Helen W. Drutt (ヘレン・ダット)
コンテンポラリー・クラフトのギャラリーをフィラデルフィアで開き、その後、世界で始めて大学教育レベルでのモダン、コンテンポラリー・クラフトの授業を開催。
その後、アメリカに活動を移し、モダン、コンテンポラリー・クラフトの潮流を広める活動を始める。
彼女の提唱して来た哲学を基調とした思想が、モダン、コンテンポラリー・クラフトの世界のスタンダードとなる。
著書や記事の連載も多数。著名なディラー、コレクターでもあり美術館へ多くのコレクションの寄贈をしている。 https://mymodernmet.com/arts-and-crafts-movement-revival/
応募には、必ずステイトメントが必要で、そのテーマを自分の作品と関連付け、テーマを自分がどのように作品に使ったのかを英語で書いて提出しなければなりません。
今回のこのコンペの応募には2ファンクション(2つの機能)で使えなければいけない、という縛りがあって、ペンダントとブローチ兼用の作品です。
受賞理由は 「精密なテクニックと、視覚的なコンビネーションの集積によって、洗練された形態の調和、全体の構成の明瞭さがもたらされている」
と表彰状に書いてあり、必ず受賞した理由がはっきりしています。
このコンペは一般の方にも解放されていて、人気投票をして気に入ったアーティストに票を入れることができます。
私の名前が呼ばれたので振り向いたら、私に票を入れてくれるという、小さな男の子がいて、嬉しかったです。
-Alliages Legacy awarded アリエイジズ レガシー アワードについて-
アリエイジズ レガシー アワード(フランス)でテクニーク賞を受賞しました。
Brooch, Metamorphosis Mineri Matsuura 2018, Oxidized silver, stainless steel, paint Jeweler’s saw, sulfur, welding Alliages Legacy awarded
Juan Riusech (創設者)がファウンダーになって始まった、フランスのコンテンポラリージュエリーのコンペです。
これに入選するとエスペースソルダー(Espace Solidor)美術館に作品が収蔵されます。
このコンペは、コンテンポラリージュエリーをプロモートするために2015年から始まりました。
コンテンポラリー、アートジュエリーには本当に様々な表現の仕方があるので、
その多様な表現を見ていただくために、作品を収蔵するエスペースソルダー(Espace Solidor)美術館を開いたということです 。
フランスのカーニュ=シュル=メールにつくられた美術館です。
そこで開催されるのが、アリエイジズ レガシー アワードなのです。
海外コンペで入選すると、様々なチャンスが与えられる
Joya(ホヤ)というスペインのバルセロナで開催される、コンテンポラリージュエリーの世界的なエキシビジョンがあります。
GIF(Gioielli in Fermento 開催レポート2に詳細)は入賞したアーティストからチョイスした何人かの作品をJoyaに出品してくれます。
(GIF2019で大賞をとった、菅野康子さんの作品がJoyaのウェブサイトとトップに載っています。)
GIF special mention を受賞した私の作品も展示されています。
その他、GIFで受賞した作品とGIFのセレクト作品は、シカゴのSOFA、NY-RR ギャラリー、Putti in Riga(バルト三国の一つラトビア)など、その年によって会場は異なりますがGIF受賞作品として世界中を巡回してくれます。
アーティストも行く場合もありますし、作品だけ行く場合もあります。
また、レセプションなどでは、モデルが作品を着けて歩いてくれたりします。
そのようなアプローチによって現代的なジュエリーがより身近になると思います。
AGC(Associazione Gioiello Contemporaneoiイタリアのコンテンポラリージュエリー協会)とACJ(Association for Contemporary Jewellery イギリスのコンテンポラリージュエリーの協会)のコラボレーションによる二か国の巡回展のファーストエキシビジョンも開催されました。
日本人も入選のチャンスがある
米井:
遠い日本から出品しても、入選するチャンスがそれなりにあるのではないか、と言ってましたが、実際はどうですか。
松浦:
西洋とは異なる文化圏、東洋の日本人には確かにチャンスがあるかもしれません。
コンペを開催する時には、インターナショナルな雰囲気を出したいというのと、世界に向けてこのコンテンポラリージュエリーを発信したいという意識が主催者側にあると思うのです。
ヨーロッパから見たら、日本は世界の東の端の国。
そういう国の作品も、入選作品に並べたいという気持ちはすごくあると思うんですね。
だから若い方には、チャンスはたくさんあると思います。
ぜひトライしていただきたいですね。
受賞に伴ってKlimt02 (クリムト02)とAGC (イタリアのコンテンポラリージュエリー・アートの協会)の1年間会員資格を取得しました。
Klimt02 は、コンテンポラリージュエリーのプラットフォームです。世界中のコンペ、アーティスト、展覧会、ギャラリー、キュレーターのことなどの情報発信をしています。 こちらをチェックすると、色々な情報が入ってきます。
また、受賞をしたからなのかはわかりませんが、 インターナショナルな展覧会に声がかかります。 ロンドンのthe Goldsmiths’ Centreとイタリアの協会AGCのコラボレイトの展示会に出品することになりました。
Klimt02 には、常に世界で4万人のリーダーがいます。
会員になるとアーティストとその作品の紹介ページをつくって公開してもらえます。
また、フルコンテンツでギャラリーMarzeeのインタビューなども見られ、プロモーション、自分が作品の掲載された本を作る場合、20-30%引きなどの特典があります。
松浦峰里さんの
Klimt 02の紹介記事 https://klimt02.net/jewellers/mineri-matsuura
AGCの紹介記事 https://www.agc-it.org/it/soci/463-mineri-matsuura.html
もう一つ、AGC(イタリアのコンテンポラリージュエリー協会)の会員資格一年間も頂きました。

コンテンポラリージュエリー・アーティスト 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。
<海外受賞、選出> 2019年 ALLIAGES Legacy テクニーク賞 (フランス) 2019年 Gioielli in Fermento 2019 Klimt02特別賞/AGC 特別賞(イタリア) 2018年 Comineli Foundation Aword, Seconda menzione (イタリア) Gioielli in ferment(イタリア・2017)/ 2016(Italy, Spain, NY, SOFA Chicago)
<作品収蔵> Espace Solidor 美術館、カンヌ、フランス
<海外エキジビション等> 2019年 Gioielli in Fermento イタリア、リボルノ Espace Solidor美術館Legacy Award 展覧会 フランス、カンヌ lla ricerca della qualità イタリア、ピアチェンツァ
ウェブサイト http://mineri-matsuura.com/